3.Past and future

18/25
前へ
/567ページ
次へ
 僕は医務室を出て大きく息をついた。先生に励ましの言葉をいくつかかけられたけど、うわの空で覚えていない。      窓の向こうは、雪が降っていた。寒い。積もるかもしれない。    エレベーターを下りると、ちょうど予鈴が鳴った。あと五分で午前の授業が始まる。生徒たちが教室に移動する波にまぎれ、友人と連れだって歩くレキシアの姿が視界に入った。  会いたくない――僕は反射的に背を向けた。 「ミハエル」  僕に気づいたレキシアが声を上げた。  なんで。いつもは声なんかかけてこないくせに、今日に限って。  僕は焦りながら全力で逃げた。 「待てよ!」  レキシアの声が近づく。やめてよ、追いかけてこないで。  君のせいで注目浴びてるじゃないか!
/567ページ

最初のコメントを投稿しよう!

234人が本棚に入れています
本棚に追加