3.Past and future

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「なあ、ミハエル。目標が定まったところで、戦略研究会に入りたくなったろ」 「はい……?」 「入会祝いに、あったかいココアをおごってやる」  またなにを言い出すの、このひとは。 「カフェテリアに行くんですか? 授業中ですよ」 「途中から出るのだるいし、昼までさぼろう」  目立ちたくないって言ってるのに、僕の気持ちはおかまいなしなんだから。こぼれかけた涙も引っ込んだ。  レキシアが「早く来い」と室内へ続くドアを開け急かす。仕方なく僕はその背中を追った。  すると向こうの廊下から宇宙物理学の教官がやってきて、僕たちをじろりとにらんだ。体がすくんで動けなくなる。 「エヴァレット、授業は? どこへ行くんだ」 「体調不良の下級生を医務室に連れて行くところです」  しれっと嘯き、レキシアが軽くやり過ごす。すごい。優等生のなせる業。  堂々としてれば、それらしく聞こえるものだなと妙に感心した。教官が「ご苦労さん」と、深く追及もせず去っていく。
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