3.Past and future

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「おまえ硬すぎ。処世術も学ばなきゃだめだな」  固まった僕を見てレキシアが吹き出した。悔しいけど、反論できない。  いろいろな意味において、レキシアは僕の遥か上をいっている。  もしかして、強引に僕を誘ったのはわざとなのかな。泣きはらした顔のまま授業に出るわけにいかないから。  レキシアみたいになりたい――。  そのためには同じレベルまで駆け上がらなきゃならない。隣に並ぶのは無理だとしても、せめて同じ艦に乗れたなら。  密かな、そして一方的なその思いは、卒業まで僕の強い原動力になった。  いま僕たちは大人になり、夢をつかむ一歩手前まで来た。  ここで終わるわけにはいかないんだ。  離れていても、僕の心はここにあるよ。ドレッドノートに、ずっと。    捕虜交換が完了するまで約ひと月。その間だけ我慢したら、僕はまたここに戻って来られるよね……。
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