4.Departure

3/22
前へ
/567ページ
次へ
「賓客としてお迎えするようバルツァー元帥より仰せつかっております。杞憂は無用にございます」  出向く場所は軍事施設ではないようだ。衛生的な場所で過ごせるならどこでもいい。でもなぜ王宮なのだろう。 「ミハエルの身に何かあれば、ただでは済まぬこと肝に銘じていただこう」 「心いたします」  レキシアの言葉にアニエスが硬い面持ちで頷いた。 「ではリルシュ殿、参りましょう」  アニエスが僕を促した。歩き出したアニエスの背を追うと、ケルサス兵もそれに続いた。  レキシアやラウルの顔を見たら気持ちが揺らぎそうだ。振り向かずに行こう。寂しいなんて感じてる場合じゃないんだ。  靴音が通路に響く。格納庫までの短い距離がやけに長く感じた。
/567ページ

最初のコメントを投稿しよう!

234人が本棚に入れています
本棚に追加