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4.Departure
翌朝、定刻通りバルツァーの艦から派遣された小型艇がドレッドノートに到着した。
搭乗口へ向かう細い通路の両側に、レキシアとラウル、エリックのほか、護衛に選ばれたライザと二十名の警備兵が待機している。
小型艇が格納庫に降り立ち五分が経過したころ、通路の扉がスライドした。白髪で大柄な体躯のネスラーの隣には同齢の副官アイマーが寄り添い、ふたりを囲むように武装した五人のケルサス兵が歩み出る。
引き渡しの責任者として訪れたのは、リイン・アニエスという二十五歳ほどの、短髪に眼鏡をかけた折り目正しい印象の青年だった。
僕たちは敬礼し、型通りの挨拶を済ませ彼らを迎え入れた。ネスラーに多少の疲労感はあるけれど、顔色も体調もさほど悪いようには見えなかった。
「ご苦労」
ネスラーがざらついた声を発した。感謝の意などかけらも感じられず、捕虜の交代は当然といった態度だった。
その他大勢である一軍人の僕に感情が動かないのは仕方ないし、なにかしらの言葉を期待するのも間違っているとは思う。ただ、自分がネスラーの部下であることに失望を禁じ得なかった。
敵方に強制されたとしても、レキシアなら部下を身代わりにつき出したりしないし、そもそも始めから承服しないだろう。
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