我がガラテアに望む

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我がガラテアに望む

白い喉元に指を這わせたのは、それが温かいのか確かめたかったからだ。 深い眠りの中にいる彼女の肌は夜目にも白く、なめらかに整いすぎて、いっそ生きてなどいないようだから、そこに温度はないのじゃないかと思っていた。 すっと伸びた細い首は、イメージに反し、血の管と肉とを皮膚に包んで温もっている。 けれどその繊細な隆起、手の下にたわむ肌に触れさえしなければ、夏の庭にもひやりと青白く光る、マドンナリリーの冷々たる美しさだ。 露を滴らせ、透けんばかりの花びらの、あの曲線と直線の危ういバランス。 それすら今、この手のひらほどの面積に凝縮されているのは、もはや奇跡ではないだろうか。 閉め忘れたカーテンから漏れる月明かりに浮かぶ喉元は、規則的に少しふくらんでは戻っていく。 花が開いて散っていくように静かなその繰り返しには、心を震わせるものがある。 しかし温度すらないのではと、生きてなどいないのではと思って触れた身からすればーー「動いている」ということが、不思議で仕方ない。
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