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・・・・・・
「ありがとう、ノヴァリスさん。君のおかげで助かったよ」
「いえ、こちらこそありがとうございます。ふふっ」
お互いを見つめ笑いあう二人。すると横からハルスが顔を出す。
「羨ましいですなあ」
ハルスに驚き、二人は距離を取った。ゴーシュはハルスに連れていかれ、賛美と同時に冷やかしを受けた。
「こんな可愛い子とお近づきになるなんてさ、何やったの、お前?」
「い、いや僕は彼女を助けただけで、何にもしてない・・」
「またまたぁ、その話詳しく聞かせろよって。・・・あ、俺ハルス・エマークスていうの。二人ともよろしくねぇ、特にそこの可愛いお嬢さん」
この時のゴーシュにも薄っすらとではあるが笑みが零れていた。賑やかなところが苦手なのか、デンジはその場を後にし、イヴァンはゴーシュ達を見つめ微笑んでいた。
(ゴーシュ君、君にもあるじゃないか、理由が。君の守りたいものが・・・)
キヴォトス基地内の隊員の個室へと案内されるノヴァリス。
「で、では今日はお疲れ様でした・・・」
「ありがとうございます、シエルさん。ここまでしていただいて・・・」
「い、いえ!き、記憶喪失・・・なんですよね。落ち着くまでこの部屋を使ってもいいとのことでしたので、今日はゆっくりお休みください・・・」
シエルはそう伝えると、そそくさと部屋から退出した。
ノヴァリスは扉が閉まったのを見て、ベッドに寝転び、
(ゴーシュさん、イヴァンさん、デンジさん、ハルスさん、シエルさん・・・。皆さん優しくていい人ですね)
と、心の中で名前を読み上がら、微笑んだ。
しかしその後、彼女は神妙な顔をし始めた。
(・・・ゴーシュさん、私の戦う理由も見つかりましたよ。理由というか使命ですが)
彼女はベッドから立ち上がり、こう言った。
「やはりこの戦争は終わらせなければなりませんね・・・。ヘレネス皇国第一皇女、ノヴァリス・ノア・ヘレネスの名の下に・・・」
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