第一話 ノヴァリス・エンカウンター

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第一話 ノヴァリス・エンカウンター

ゴーシュ少年はいつも通り屋上で仮眠を取っていた。彼は操縦訓練の時間になると、ボイコットし、屋上でサボるのが日課となっている。 「・・・訓練やってるな。しかし、いつもうるさいなぁ」 いつもパノプリアの機動音やライフルの銃声が校舎全域に響き渡り、当のゴーシュ本人としては、その音さえも嫌気がさしていた。 だが、突然大きな衝撃音が轟いた。音のした方に振り向くと、裏山の方で何かあったのだと分かった。ゴーシュは持ち前の好奇心故に裏山へと赴いた。 そこでゴーシュが目にしたものは、新型のパノプリアだった。 「パノプリア・・・なのか?僕の知っているものとはかなり違うぞ」 しばらく新型パノプリアを観察していると、ゴーシュはあることに気が付く。 「コックピットが全開になっている・・・、誰か乗っているのかな」 剥き出しになったコックピットの中を覗き込む。 そこにいたのは綺麗な淡いドレスを装った女の子だった。 「女の子・・・、気を失っているのか?」 ・・・それにしても、何故このパノプリアに乗っているのか、このパノプリアはどこのものなのか、と疑問が次々と浮かんでくるが、 「・・・こんな女の子ほっとけないよな」 人として倫理的に人命を優先した。 彼女はとりあえず宿舎に連れていくことにした。 「うう・・・」 亜麻色の髪をした女の子の意識が戻ったようだ。 「あ、目が覚めたんだね」 「・・・あなたは?」 ゴーシュの姿を認識するやいなや、警戒したのか、彼女は身構えた。 「落ち着いて。僕はゴーシュ・スヴェンソン。君をここまで運んだ人。で、ここが僕の部屋だよ」 「そ、そうですか。感謝致します。あなたの所属は・・・」 ゴーシュは彼女に答えられる情報を教えた。 彼女は軽く咳払いし、名乗った。 「そうですか・・・。私はノヴァリスと申します・・・」 「・・・それだけ?」 「はい。申し訳ありませんが、私があなたに伝えられるのは名前だけです」 ゴーシュはその理由を彼女に問いただしてみる。 聞くところによれば、彼女は一種の記憶喪失のようだった。 「そっか、君も大変だったね。落ち着くまでここにいていいよ」 身支度を整えていると、 「どこかへ行かれるのですか?」 ノヴァリスが聞いてきたので、学園に戻ることを伝えた。 「分かりました。気を付けて、いってらっしゃいませ」
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