第三話 皇女の記憶

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「僕たちも負けてられないね、みんな」 拍手の裏でイヴァンは自分の隊員に向け、軽く鼓舞した。 「ですなぁ。俺もやりますよぉ」 「わ、私も・・・な、なんて・・・」 「はい・・・」 「エルガー大佐!」 基地のオペレーターが司令官の名前を呼ぶ。 「・・・何事です?」 「はい。索敵班より入電!1㎞圏内に敵性反応を確認とのことです!」 「映像はありますか。モニターに映してください」 ブリーフィングルームのモニターに映像を流す。 「何・・・あれ・・・」 「デカすぎるだろ・・・」 「これは・・・ヘレネス事変の時の・・・!」 映し出されたものは、大きな宇宙船のような物体だった。 「ベルリンやリオデジャネイロなど、各主要都市でも同じものが確認されています!」 (戦艦級のヘレネスなのか・・・?いや、ヘレネスは人間なんだったな・・・) ゴーシュは冷静に分析していると、ノヴァリスが呟く。 「・・・お父様、そこまでして地球が欲しいのですか」 「ノヴァリスさん・・・?」 ノヴァリスが鬼気迫る面持ちで、映像を見ている。 「ゴーシュさん、きっとここからが・・・総力戦になります」 ・・・・・・・・ 「バーバリアンもしぶとさだけは一級品だな。ゼグド!」 スクリロス・ジ・ヘレネス。現ヘレネス皇国皇帝にして、ノヴァリス・ノア・ヘレネスの実父である。地球への侵略に総力をかける為に、宰相ゼグド・メガロフィアを呼びつけた。 「何でしょう、皇帝陛下?」 「地球侵略の手を強めよ。その権限は貴様にやる」 「承知致しました。地上には皇女殿下がいる可能性もありますが・・・」 「余は辛抱弱い。我が覇道の前に立ち塞がるならば、娘とて容赦はしない。地表ごと焼き払え」 皇帝としてか、スクリロスとしての本質なのか傍若無人のように振舞った。 「Yes,Your Majesty」 ゼグドも早速各皇族や名門家、辺境伯に至るまで国中へ通達した。 「諸君、我がヘレネス皇国は、皇帝陛下の命の下、バーバリアンへ本格的に宣戦布告する!我こそはという者は名乗りを上げよ!」 名宰相の鼓舞により、通信越しに歓声が湧き上がる。 「各拠点にカサンドラを配備し、出撃の準備をしろ。整い次第私に通達だ」 ヘレネスにおける戦艦であるカサンドラの配備完了の報告を次々と纏めていく。 全体の配備が完了を確認した後、ゼグドは目を閉じて呼吸を整えた。 「降下開始」
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