第三話 皇女の記憶

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・・・・・・・ 「ヘレネス、上空より多数接近!二分後には会敵します!」 「落下地点の予測は?」 「横須賀の軍事基地だと思われます!」 「迎撃しましょう。出撃準備をお願いします。私も揚陸艦で後方支援しつつ、指揮を執ります」 エルガーの指示が出て、出撃部隊は急いで格納庫へと向かい始めた。 ゴーシュも他の隊員同様に、《アキレウス》へと乗り込み、起動準備に取り掛かっていると、OSが口を挟んできた。 『この戦い、フィリア・ドライブが勝利の鍵を握ることになるでしょう』 「お前に言われるまでもない。使えるものは使わせてもらう」 『”お前”とは何ですか、不躾な方ですね』 ゴーシュはOSの発言に驚く。何せまるで自我があるような言い回しをするのだから。 『私に名前をください、ゴーシュ・スヴェンソン』 ゴーシュは少しだけ悩んだが面倒になり、適当に名付けた。 「ならお前はナグだ」 『ナグ・・・ですか?』 「口やかましいから、nagだ。それでいいか?」 『由来が不本意ですが、可愛い名前なので、採用です』 またもやAIと思えない発言に驚きを通り越して、ゴーシュは呆れていた。 「可愛いって・・・。まあいいさ、サポートを頼むぞ、ナグ」 『了解』 そう言うと、ゴーシュも横須賀へと馳せて発進した。
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