第四話 フィリア・ドライブ

7/14
前へ
/59ページ
次へ
「ゴーシュ!!」 親友の危機に、デンジは彼の名を叫ぶ。 デンジもゴーシュへの直撃は免れないと考えていた。だからこそ、一縷の望みに懸けていた。 「ゴーシュ!避け・・・!」 大きな爆音と爆風が巻き上がった。 デンジは爆風に視界がくらんでしまい、ゴーシュの安否をすぐには確認できなかったが、すぐに安堵の声を漏らした。 「ゴーシュ・・・!」 『フィリア・ドライブ発動。バリア・フィールドの展開に成功しました』 《アキレウス》からバリア・フィールドが展開され、《カシオペア》の光弾を防いでいる。 フィールドのぶつかり合いにより、両機体は反発し遠ざかった。 《カシオペア》はその衝撃で仰向けに倒れた。 ゴーシュは何が起きたのか、理解できずにいた。 「どうして急に・・・」 『やはり、ノヴァリス皇女殿下の声がトリガーでしたか』 「お前・・・、もしかして』 『彼女との会話を録音させていただきました。私の推測通りです』 ゴーシュはナグの発言に少し気後れした後、ナグに対する認識を改める。 このAIは、否、ナグという存在はそんじょ其処らのAIとは違うのだと。 『彼女を守るのでしょう、ゴーシュ』 「ああ、そのつもりだよ」 『その意気ですよ』 半ば煽っているようにも聞こえるが、今はその軽口が自分の力になっている気がした。 決意と共に、操縦桿を強く握りしめる。 「だから、僕に力を貸してくれ、ナグ。あの新型を撃退する!」 『了解』 《アキレウス》の眼光が眩く煌くと、各部の装甲が展開し始める。 装甲の隙間からは、《カシオペア》と同じような光の粒子が宙に舞う。
/59ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加