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「ゴーシュ!!」
親友の危機に、デンジは彼の名を叫ぶ。
デンジもゴーシュへの直撃は免れないと考えていた。だからこそ、一縷の望みに懸けていた。
「ゴーシュ!避け・・・!」
大きな爆音と爆風が巻き上がった。
デンジは爆風に視界がくらんでしまい、ゴーシュの安否をすぐには確認できなかったが、すぐに安堵の声を漏らした。
「ゴーシュ・・・!」
『フィリア・ドライブ発動。バリア・フィールドの展開に成功しました』
《アキレウス》からバリア・フィールドが展開され、《カシオペア》の光弾を防いでいる。
フィールドのぶつかり合いにより、両機体は反発し遠ざかった。
《カシオペア》はその衝撃で仰向けに倒れた。
ゴーシュは何が起きたのか、理解できずにいた。
「どうして急に・・・」
『やはり、ノヴァリス皇女殿下の声がトリガーでしたか』
「お前・・・、もしかして』
『彼女との会話を録音させていただきました。私の推測通りです』
ゴーシュはナグの発言に少し気後れした後、ナグに対する認識を改める。
このAIは、否、ナグという存在はそんじょ其処らのAIとは違うのだと。
『彼女を守るのでしょう、ゴーシュ』
「ああ、そのつもりだよ」
『その意気ですよ』
半ば煽っているようにも聞こえるが、今はその軽口が自分の力になっている気がした。
決意と共に、操縦桿を強く握りしめる。
「だから、僕に力を貸してくれ、ナグ。あの新型を撃退する!」
『了解』
《アキレウス》の眼光が眩く煌くと、各部の装甲が展開し始める。
装甲の隙間からは、《カシオペア》と同じような光の粒子が宙に舞う。
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