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第三話 皇女の記憶
・・・・・・
「ゴーシュ、その制服似合ってるぜ」
「ありがとうございます」
ハルスはゴーシュの装いをからかい交じりに褒めた。
その後、ゴーシュは正式にキヴォトスの隊員になり、イヴァン・リュボーフィ率いるΛ小隊の所属となった。
「日本の諺にもあるよな、馬子にも衣裳ってやつ?」
「ハルス、それは誉め言葉ではない」
「ありゃ?そうか、悪いねぇ、ゴーシュ」
「いえ、気にしてません」
ゴーシュはデンジはもちろん、ハルスとも打ち解けてきたようだ。
三人は何気ない会話を弾ませる。
「ふふっ、仲良くなったんですね、ゴーシュさん」
「お、お疲れ様ですっ・・・・・・」
ノヴァリスとシエルの女性陣も会話に混じる。
「先日の戦闘でこの地域一帯に避難勧告が出されましたね・・・、住民は無事なんでしょうか・・・」
ノヴァリスは心配そうに、避難民のことを憂いていた。
「それについては心配はいらない。聖ピレイン学園を中心に、避難民のほとんどをこの基地内に収容することができた」
デンジがノヴァリスにそう言うと、ゴーシュも恐る恐るデンジに尋ねた。
「・・・サナもいるの?」
「ああ、その筈だ。・・・何故サナを気に掛ける?」
「友達だからね」
「そうか・・・・・・・」
ゴーシュは安堵の表情を浮かべると、遠くから呼びかける声が聞こえ、隊員が規律よく振り向く。イヴァンである。
「あ、皆いるね。ブリーフィングを開始するから集合だよ」
気持ちを切り替え、Λ小隊全員でブリーフィングルームへと赴く。
するとノヴァリスがゴーシュを引き留める。
「あの!ゴーシュさん!少しよろしいでしょうか?」
ゴーシュは小隊長であるイヴァンの許可を目で求める。
「いいよ。ただ十分後には集合できるように頼むよ」
「了解です」
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