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「心の余裕を見せるなよ。ムカつくなあ」
「やっぱり、ストレートに名前を呼んであげるべきかなぁ、征一郎さんって」
「……おまえ、その顔……鏡で見て来い。瞳孔フルオープンでマジで怖いわ。目、キラッキラしてんぞ」
「征一郎さんかあ……」
「もうやめろ。名前的に男と付き合ってんのバレバレだぞ」
「はぁ……」
「その見た目でヤクザの若頭を抱いてるとはな。ああ、恐ろしい。世も末だ……」
「せいさん、とかだと……なんかヤクザ感が出すぎるよな。どうしたらいいんだろう」
胸がいっぱいでうどんが食べられない。以前なら、これにおにぎり二個とお稲荷さん三個は余裕でいけたが、今日はうどん半分でお腹がいっぱいになった。
「あー、悩みが多いなあ」
「もう病気だな……おまえ。脳内ホルモンジャンキーだぞ」
「なんかさ、胸がいっぱいでご飯も食べられないし、世界がキラキラして眩しいし、すぐに涙ぐんじゃうし、とにかく大変なんだ……」
「恐るべしフェニルエチルアミン。まあ安心しろ、恋愛ホルモンのせいで脳内がお花畑になってるだけだ。じきに治る」
「うーん」
結論は出ず、結局、残りのうどんは林田に食べてもらった。
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