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「……亡くなりました」
ずきり、胸が痛む。
「ああ、そうか。彼女も。……そうか。……人にしても、早すぎるね」
「病にかかってしまって、そのまま」
少し調子が悪そうな様子を見せるようになってからは、あっという間だった。ある日突然意識を失って、そのまま、眠るように息を引き取ってしまった。
「そうか。……そうか。……そういうものなんだ。わかっている。私はそういう生き物に生まれてしまった。だが……いつになっても、見送る立場になるのは慣れないね。特に彼女は。とても、とても、よくしてくれたから。私はあと何千回、人を見送らなくてはいけないのだろう……」
――村人たちは、母の死を嘆いてはくれなかった。村人たちにとって、冬に備える必要がない秋をもたらし続けてくれる秋様は恵みを与えてくれる存在で、そんな存在と馴れ馴れしく会話し続け、さらには秋様の前に幼い娘まで連れ込んでいた母は、野蛮で無礼な人物でしかなかった。「罰が当たったのだ」と、彼らは言った。
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