世界は真白にはならない

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「あ、雪が降ってきたよ」 「わ、ほんとですね。道理で暗いと思いました」  曇天からちらほらと、白いものが落ちてくる。手のひらを広げて天を仰いでいると、ひらひらとした白いものがちょうど真白の手のひらに落ちた。 「あっ! 見てください、見てください!」  思わず隣にいた彼の腕を激しく叩く。彼は苦く笑って、「ああ、本当だね。すごい」と言ってくれた。 「そういえばね」 「はい」 「真白の名前は、雪が由来しているんだよ」 「え? そうだったんですか?」  初耳だった。 「うん、そう」 「へえー! 知らなかったです。お母さんから聞いたんですか?」 「ううん、真白の名前は私がつけたから」 「えっ、ええええ!? そうだったんですか!?」  それもまた、初耳だった。思わず大声を上げると、彼はちょっと眉根を寄せて耳を塞ぐ。そうとううるさかったようだ。 「ごっ、ごめんなさい」     
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