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「ではペナルティとして、本日より一週間、厨房の買出しを手伝う事。よろしいですね?」
「はい、院長先生」
「では、お退がりなさい」
アスリールはエリオドーナに一礼すると、院長室を退出した。
「院長! あのような軽い処罰では、院生達に示しがつきません。もっと厳しく処して頂かなくては」
途端にウィルガーがエリオドーナに噛み付いた。片眼鏡の奥で細められた瞳には、ありありと不満の色が浮いている。「アスリールは奨学生です。学院での勉学の他に、厨房の手伝いや雑用をして、自身の学費を稼いでいるのです。処罰を厳しくする事は簡単ですが、それでは、彼女の学ぶ時間がなくなってしまいます」
エリオドーナの言葉通り、アスリールは奨学生である。彼女には両親がいない。アスリールがまだ赤ん坊の時に、ハバスティアの外れ、野苺の原と呼ばれている草原に捨てられていたのだ。たまたま通りがかった街の人間に拾われ、孤児として育った彼女は、野苺の原にちなんで「ベリーフィールド」と名付けられた。
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