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失恋の痛手は完全には癒えていなかったけど、俺はしっかりとした足取りで歩きだした。
家に帰る途中でエバンスに会った。
あんな状態だった俺を気にかけてくれた、たった一人の友達だ。
「やあ、レオ。もう一度召喚術を試してみたかい?」
エバンスはニコニコと声をかけてきた。
俺は先ほどの経験から、つい嘘をついてしまった。
「それが、朝も試してみたけど、やっぱり洗濯バサミしか召喚できなかったよ」
もしこれでエバンスが俺を見限るようならそれまでだ。
だけどエバンスは俺を慰めてくれた。
「そうかぁ。それは残念だったな。でもさ、洗濯バサミって初めて見たけど、あれはあれで便利だと思うぞ。一〇個くらい溜まったら俺にも売ってくれよ。家の母ちゃんは喜ぶと思うな」
朗らかなエバンスの笑顔に泣きそうになってしまった。
もしもう一度召喚できたのなら、エバンスにはチロリンチョコも絶対にプレゼントすることにしよう。
こんな田舎ではチョコレートを食べたことがある奴なんて一人もいない。
きっと喜んでくれるに違いなかった。
エバンスって少しぽっちゃり体型の見た目からもわかる通り、食べることが好きなんだよね。
エバンスと話していると、同年代のポンセとオマリーもやってきた。
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