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俺が役立たずの「洗濯バサミ」だとわかった後、あからさまに交際を絶とうとした奴らもいたが、これまでと変わらない付き合いをしてくれる友達もちゃんといたことがわかって嬉しかった。
「昨日はなんて声をかけていいかわかんなくてさ。悪かったな」
「気にすんなよ。どうせ俺たちはこの村で農業と狩りしかできないんだからさ」
結局、俺が白羽の御子だったという理由だけで付き合っていた人は離れていった、それだけのことだ。
そのことがわかっただけでもいい経験をしたのかもしれない。
これも社会勉強というやつなんだろう
家に帰って、いつも通り山羊と鶏に餌を食べさせた。
今は冬だから農業はお休みだ。
この村の人間はほとんどが農業と狩りで生計を立てている。
俺もたまには狩りに出るが、せいぜい罠を仕掛けるくらいだ。
だからといって冬に仕事がないわけじゃない。
藁でロープを編んだり、チーズを作ったりもする。
次男三男なんかだと街に出稼ぎに行く者もいるし、腕に覚えのある奴はダンジョンに潜り魔物を倒すこともある。
魔物から素材や魔石と呼ばれる魔力の結晶を取り出すことで現金収入になるのだ。
しかもダンジョンではお宝が出現することもあり、農閑期の大事な収入源になっていた。
だけど、ダンジョン攻略が出来るのは攻撃魔法や武器を使える人ばかりだ。
俺のような普通の人間は命の危険があるダンジョンへ入ることは稀だった。
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