1.初めての召喚

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さっき待ち合わせの場所に来たばかりというのに、辺りはもう暗くなり始めている。 これ以上はヨランの家族に心配をかけてしまうな。 暗くなる前にヨランを家まで送っていった。  俺の場合は家に帰っても家族はいない。 両親は俺が生まれてすぐに死んだそうだ。 俺を育ててくれたおばあちゃんも去年亡くなってしまった。 躾には厳しい人だったけど、優しい人でもあった。 おばあちゃんは生活魔法のスキルを持っていたので、ずっと都の貴族様のお屋敷で働いていたそうだ。 そのせいなのか行儀作法や文字などは厳しく教え込まれた。 でも、俺が頑張ればいっぱい褒めてくれたし、父さんや母さんがいない分愛情もいっぱい注いでくれた。 ミートパイを焼くのがとっても上手だったな……。 おばあちゃんがいて本当に幸せだったと思う。 ギフトを貰って働きだしたら、いっぱい恩返しをしたかったな……。 それだけが心残りだ。 その晩、俺は明日の成人の儀式に備えて早めにベッドに入った。  神殿の礼拝室には村の新成人が集められていた。 村長の挨拶から始まり、にぎにぎしく式典が進んでいく。 そして最後は皆のお待ちかねギフトの授与だ。 一人一人が神像の前で跪き、神官さんがその肩に手をあてて呪文を唱える。 はたして俺はどんなギフトを貰えるのだろう?      
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