待てと言われたあの日から

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そう、僕はポチ、犬だ。  5年前に僕は60歳くらいのヤスという男性に買われた。古くてみすぼらしい家に入る瞬間はいまでも覚えている。ヤスは、毎日僕にいろんな話をしてくれた。 町で祭りがあった話、高校時代の話、仕事で大失敗をした話。僕は、ヤスの話が好きだった。いや、ヤスが大好きだった。  ある日、ヤスはぼくにしつけをし始めた。  「待て」 餌を目の前に僕は言われた。我慢できなくなり僕は食べた。何度もこれを繰り返した。1か月くらい練習しやっと出来るようになった。 「おめでとう、ポチ」 ヤスが僕を強く抱きしめた。 「ワン!」 「今日は、特別に高級な缶詰買ってきてやるぞ」
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