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俺は鏡の前でただ茫然としていたが、母が再三俺を呼ぶ声を聞いて、ようやく動き出す。 クローゼットに入っていた真新しい学生服に着替え、用意してあった学生バックを持って、部屋を出た。 途中で洗面所に寄り、顔を洗い、リビングに入った。 テーブルにはすでに朝食が用意されていた。 「おはよう俊介」 「おはよう」 朝食を食べるため、椅子に座ると、父から挨拶を受けたので、返事をした。 父は朝食を食べながら、テレビで朝のニュースを見ていた。 『おはようございます。4月8日、午前7時になりました。ニュースをお伝えします。』 ニュースの挨拶を聞いて、ふと、目の前の壁にかかっていたカレンダーを見ると、4月8日のところには入学式と書かれていた。 この入学式という文字を見て、俺は今日から、中学生になるという事実を理解した。 さらにもう一つの重大な事実にも気づく。 『野球ができるということ』 俺は中学3年の最後の試合でもうボールを投げられないほどの再起不能の怪我をしてしまい、満足のいくプレーができなくなってしまった。 しかし、今は中学1年。まだ怪我をしていない。しかも、この人生では、怪我をしない未来もあるかもしれない。 このように考えると、まるで道が開けたかのように、これから、生きていくのが楽しくて仕方がなかった。 俺は急いで朝食を食べ終わると、学校へ行くため、玄関へ向かう。 急にニヤニヤしだした俺を両親は不審がっていたが、俺はそんなのお構いなしに両親に「行ってきます」と挨拶をする。 そして、俺は新たな人生の第一歩を踏み出し、家を一目散に飛び出したのであった。
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