19人が本棚に入れています
本棚に追加
「落ちるぞと危機感を煽ってみても駄目。私立を薦めても駄目。――なら菅田。どうしたら君は、『やる気』になってくれるのかな?」
「だから就職するって」
「……私が――嫌なんだよ」
「は?」
さすがにポカンと、口が開いた。
「何それ?」
「君はやればできるのに、やらない。そして周りは――親さえもが、君が『できない奴』だと思ってる。私はそこが、気に入らない」
「………………」
――バカじゃないだろうか……。
檜山を見つめ、思ったのはそれだった。
「さて、そこでだね。……最終手段だ。私のために、頑張ってみる気はない?」
微笑む檜山の左薬指で、指輪が光る。
直接彼に触れた事も、ないクセに。
その指輪を外してやりたくて仕方なかった――。
最初のコメントを投稿しよう!