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檜山が聞いたらガッカリするのか、「それでも構わない」と言うのか――。
俺は彼が言った台詞の通り、檜山の為だけに、英語も高校受験も頑張った。
高校に合格した時も、親よりもまず「檜山に伝えなきゃ」と思った。心から喜んでくれるだろうその顔を想像しながら、浮かれた歩調で中学に向かった。
「よく頑張った」
何人も伝えに来たクラスの生徒の1人。
頭を撫でたりも、肩や腕を叩いたりもしてくれない。
それでも彼の笑顔が嬉しくて、俺は満足していた。
「先生のおかげ」
俺の言葉に、檜山が笑みを深くする。
「私も、菅田のおかげだ。私の言葉を証明してくれた」
「『私のために』ってヤツ?」
檜山は一瞬目を見開いてから、クスクスと笑った。
「そっちじゃなくて。『やればできるのに』の方」
「高校行って、先生が居なくなったら判らないよ。元の『できない俺』に戻る」
そうさ。
戻ってしまう。きっと――……。
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