始発まであと何分

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そう、俺は今日彼女にフラれたのだ. 付き合って数か月、俺と彼女は上手くいっていた、はずだ。 だがそれは俺だけだったようで、今日のデート開始直後に彼女は俺に別れを告げてきたのだ。 『行成くんのこと最初は面白い人だと思ってたんだけど、付き合ってからイメージ違うくて。一緒にいても全然ドキドキしないんだよね。だから、ごめんね。』 そう言った彼女は、俺のプレゼントしたネックレスをつけていなかった。 喫茶店で告げられたその別れの言葉に俺の思考はフリーズし、その後の展開はあまり覚えていない。 ただ、消えるような声で返事をしたのだけは記憶している。 その後、ショックのあまり白骨化していた俺を現実に戻したのは一通のメールだった。 差出人は永島夏樹、その内容は 『飲みにいかね?』 という誘いであり、俺は二の句も告げずその誘いにのったのだ。 誰かに、俺の胸の内を吐き出さなければやってられなかった。 『ドキドキしないってなんなの!?ドキドキってなに過呼吸!?好きな人と一緒にいるといつも息上がってるもんなの!?ていうかイメージ違うってなに!?俺お笑い芸人みたいに面白いこといわなきゃいけなかったわけ!?』 カクテルを飲みながら夏樹に愚痴をぶちまける。 俺は彼女といるときはいつも気をつかっていた。 彼女が楽しめるようなデートプランもいつも考えて、おいしいごはん屋を探して、 彼女が喜びそうな高価なプレゼントを買って…… 一体俺の何が悪かったのかわからない。 『……お前、女の子の前だと妙にかっこつけるよな。』 俺の愚痴を黙って聞いていた夏樹が心底うざそうにそう告げる。 普通に飯を食うだけだと思っていたら俺の愚痴に付き合わされているのだ。 夏樹はビールジョッキを舐めるとそれをゆっくりテーブルの上に置いた。 『なんつーか、いいとこみせようと必死すぎなんだよ。素じゃねえ自分見せても、いつかボロでるだろ。それが彼女にはわかったってことだ。』 『でも好きな人にはいいとこ見せたいもんじゃねえか……』 『そりゃな。でも彼女はお前のどこを好きになったかが問題だろ?お前のかっこいいとこみて彼女は好きになったのか?』 枝豆をつまみながら夏樹が俺に説教を垂たれてくる。 俺としては愚痴にうんうんとうなずいてほしかっただけであり、耳の痛い話に意気消沈としてくる。
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