大したことない逆襲

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ンィィィィ、ィイイイ、ゴッ、イイイイ、ゴッゴッ…… 退屈な音。違う。退屈な時にしか聞こえない音。 大学に入ってからずっと聞こえてる。 朝起きて、学校に行く。大して親しくはない友達と飯を食って、サークル行って、バイト行って、家に帰って、寝る。たまにサボる。週に一回は大して親しくはない友達の家に行って、大して面白くもない話をしながら、大して美味くもない酒を飲んで騒いだ後、寝る。 大したことない俺の、大したことない日常。 ほんと、どうしようもない。 語弊がないように言っておくと、これは愚痴じゃない。本当に、どうすることもできないって意味。何かを成そうにも、成すべき何かがない。こればっかりは、俺にはどうしようもない。本当に。 だから、彼女に声をかけたのは、ほんの気まぐれだった。意味なんて無い、このどうしようもない日常に対するほんの小さな逆襲。カウンターアタック。 「隣、いい?」
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