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今日は、わたしが脳摘出の手術を受ける日だった。
脳を機械で作られた肉体に移植することは、すでに、実用化されていたが、これが、危険な手術であることに変わりはなかった。
だが、肉体を捨て、地球を去ることに悔いはなかった。
人類が生き残るための一つの道としてのわたしたちだった。
生きて、生きて、新しい人類の歴史をつくる。
それが、わたしたちの共通の意志だった。
手術室へ入る前に、へイヤー博士がわたしにきいた。
「本当に、いいんだな、レキシア」
わたしは、うなづいた。
「わたしたちは、人類のために生きることを誓った。後悔は、しない」
へイヤー博士が、わたしの手をぐっと握った。
「ありがとう、レキシア」
「きっと、長い旅になるね、おじいちゃん」
ケイレス・へイヤー博士は、わたしの、実の祖父だった。
彼からすれば、実の孫の体を殺すのだ。
きっと、辛いことだろう。
わたしは、最後に、とっておきの笑顔で言った。
「おじいちゃん、新しい楽園をみんなでつくろうね」
そして、わたしたちは、肉体を捨てた。
宇宙船ゲロニカの乗務員は、5人。
船長である、脳科学者のケイレス・へイヤー博士。
宇宙船の操縦と、惑星探査の担当をするジェームズ・タラント空軍少佐。
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