13 楽園の記憶

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 今日は、わたしが脳摘出の手術を受ける日だった。  脳を機械で作られた肉体に移植することは、すでに、実用化されていたが、これが、危険な手術であることに変わりはなかった。  だが、肉体を捨て、地球を去ることに悔いはなかった。  人類が生き残るための一つの道としてのわたしたちだった。  生きて、生きて、新しい人類の歴史をつくる。  それが、わたしたちの共通の意志だった。  手術室へ入る前に、へイヤー博士がわたしにきいた。  「本当に、いいんだな、レキシア」  わたしは、うなづいた。  「わたしたちは、人類のために生きることを誓った。後悔は、しない」  へイヤー博士が、わたしの手をぐっと握った。  「ありがとう、レキシア」  「きっと、長い旅になるね、おじいちゃん」    ケイレス・へイヤー博士は、わたしの、実の祖父だった。  彼からすれば、実の孫の体を殺すのだ。  きっと、辛いことだろう。  わたしは、最後に、とっておきの笑顔で言った。  「おじいちゃん、新しい楽園をみんなでつくろうね」  そして、わたしたちは、肉体を捨てた。  宇宙船ゲロニカの乗務員は、5人。  船長である、脳科学者のケイレス・へイヤー博士。  宇宙船の操縦と、惑星探査の担当をするジェームズ・タラント空軍少佐。     
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