1 いわくつきの奴隷

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 首枷をつけられ、鎖で縛られたわたしを、野党たちは、馬上から引いて都まで連れてきた。  わたしの足の裏は、皮がむけ、感覚が無くなり、血を流していたが、彼らが気にすることはなかった。  もし、幸いだったことがあったとすれば、野党たちが、わたしを必要以上に殴ったりはしなかったということだけだった。  「こいつは、傷をつけるな。高く売れなくなる」  そう、野党の頭らしき男が、言った。  そうして、一昼夜歩き続けて、やっと、ジョーゼット王国の王都であるアーガイルに到着した。  街につくとすぐに、野党たちは、わたしを奴隷商のもとへと連れていき、金貨一枚の値段で売り飛ばした。  連中は、涙一つ流すことなく、悲鳴も上げることのないわたしを、口のきけない、頭のいかれた者だと思ったようだった。  「口は、きけないが、なかなかの美形だろ」  そういって、野党の頭は、金貨三枚を要求したが、奴隷商の男は、渋い顔をしてみせた。  「こんな、やせっぽちで、頭のおかしい子供が、なんの役に立つ」  結局、野党の頭は、金貨一枚で手を打つことにした。  奴隷商の男は、野党たちが去った後で、わたしに、言った。  「服を脱げ」  わたしが躊躇っているのを見て、男は、言った。  「無理やり脱がされたいなら、それでも、いいんだぞ」  わたしは、腹をくくるしかなかった。  数分後。  服を脱いだわたしを見て、そのゲス男は、にやりと笑った。  「これは、いい買い物をした」  わたしには、逃げる手立てがあった。  ソードフィッシュ。  それは、わたしの使い魔の名前だった。  あれが、わたしを見つけさえすれば、こんな鎖など問題にはならなかった。  すぐに、わたしは、森へ帰れるだろう。  だから、わたしは、男に、明日、市場に出すといわれても、そんなに心配はしていなかった。  もし、わたしが、案じることがあるとすれば、この王都にわたしを知る者がいるのではないかということだけだった。  
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