13 楽園の記憶

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 最悪の事態を防ぐために、人類は、二つの道をそれぞれ選択することとなった。  一つは、巨大地下シェルターにて、人々を冷凍保存することによって人類の種を残そうとするものだった。  人々は、地球上が再び、人類の生存に適した環境になった頃に、目覚める予定だった。  そして、もう一つの道が、わたし、レキシア・へイヤーが参加するプロジェクト ノアだった。  宇宙船に何億人分もの、受精卵を冷凍し積み込み、別の生存可能な星を目指すというものだった。  長期の宇宙での生活に適応するために、乗組員は、脳を体から取り出し、宇宙船のメインコンピュータに直接接続し、アンドロイドを操り、全ての管理をしていくという計画である。  プロジェクトの責任者であり、宇宙船ゲロニカ号の船長である、脳科学者 ケイレス・へイヤーが提唱し、始まったこのプロジェクトに賛同した人々は、そう多くはなかった。  だが、人類の種の保存のために、残された道は、あまりにも限られていたため、多くの国々がへイヤー博士に協力することとなった。  わたしたちは、宇宙船ゲロニカを守り、人類の生存可能な星をみつけ、そこで、冷凍保存している受精卵を人工子宮で育成し、その星へと移住させるという任務を帯びていた。     
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