13 楽園の記憶

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 テラフォーミング担当のエリー・マイアー博士。  冷凍受精卵の管理と人工育成器の担当であるアリエル・メリーウェザー博士。  そして、へイヤー博士の孫であり、人工の肉体の製造担当であるわたし、レキシア・へイヤーだった。  この5人全員が、肉体を捨て、脳ののみの存在となり、船の頭脳であるブレイン・ゲロニカに繋がっていた。  わたしたちの旅は、数百年ほど続き、地球から何億光年も離れた場所に、人類の生存可能な星を発見した。  わたしたちは、それぞれの肉体となるアンドロイドを操り、作業に励んだ。  新しく発見された星の名前は、人類の未来が素晴らしいものになるように、エデンと名付けられた。    それから、さらに数百年の時が流れた。  人類は、エデンに増え広がっていった。    その頃だった。  地球からの通信が入ったのは。  それは、年老いた女の声だった。  「レキシア、ごめんなさい」  その声は、言った。  「約束を守れなかった」  「さようなら、レキシア」  それを最後に、地球からの通信は、途絶えた。  わたしたちは、すぐに地球へと帰還することを望む者たちと、このまま、このエデンで生きていくべきだという者たちとに分かれ、対峙した。       
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