13 楽園の記憶

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 地球へ戻ることを望んだ、ジェームズと、アリエルは、我々の目を盗んで地上の人々を先導し、この宇宙船ゲロニカ号を乗っ取ろうとクーデターを起こした。  エデンの地上の人々と我々は、争い、その戦いは、やがて、エデンの人類全てに波及していった。  それは、エデンに酷い打撃を与えた。  わたしたちは、エデンを再び、立て直すために、人類の導き手として地上へ降りることにした。  人工の肉体を得て、エデンに降り立ったわたしたちは、ゲロニカの国をつくり、人類を導いた。  ジェームズと、アリエルたちが作り上げたブレンたちは、ゲロニカから切り離され、ゲロニカの王城に保護されていた。  そして、人類は、2度目の繁栄を迎えた。  だが、その頃、わたしたちは、年老い、脳だけになった身にも寿命が迫っていることを知った。  わたしたちは、ブレン・ゲロニカを維持するために、新しくゲロニカの国に生まれた子供たちの脳をゲロニカの頭脳に繋ぐことにした。    やがて、祖父が死んだ。  次に、エリーが死んでいった。  最後に、わたしが、一人、残された。  その頃には、ゲロニカのブレンは、巨大化し、肥大していっていた。  古い死んだ脳と、新しい脳を入れ替えていく内に、歴史は、揺らいでいった。    最後に、わたしも、死ぬ時がきた。  わたしは、夢を見た。    ああ。  早く、あの星へ、帰りたい。     
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