13 楽園の記憶

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 そして、ブレンは、夢見る。  わたしが見た最後の夢をブレンは、繰り返し、追想し続けた。  エデンは、もはや、ゲロニカを必要とはしない。  そう思ったのは、誰だったのか。  人々は、いつしか、見たこともない地球への慕情に取りつかれていった。  地球へ、帰ろう。  ブレンは、地球の象徴である、わたし、レキシアを再びつくりだそうと考えた。  わたしの保管されていた脳髄から脳細胞を取り出し、クローンをつくろうとした。  そのためにつくられたのが、ゲロニカ王家だった。  わたしをつくるために、人々は、王族をつくり、育てていった。  だが、それに反発を覚えた者がいた。  それは、わたしの父王である、ケイレス・ド・ゲロニカだった。  祖父の名を持つこの父王は、ただ一人の人間をつくりだすためだけに、縛られることを拒否した。  彼は、皆の反対を押し切り、ゲロニカの血の薄い女を妻に娶った。  そして、生まれたのが、アリエル・ド・ゲロニカ。  わたしの姉様であるデモナスだった。  わたしたちは、クローニングを重ねるうちにお互いの感能力が高められていっていた。  それが、ゲロニカの魔力の秘密の一つだった。     
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