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『そうだな。』
彩花は一言そう言った。
親友の彩花とはもうすぐ20年の付き合いになる。
小・中・高と共にバレーボールで汗を流し続けた青春をおくり、齢25になる今でもこうして私のしょうもない愚痴に付き合ってくれる有難い存在だ。
『そしたら今頃、彼氏とかいうやつできて、順調に仕事して、そのまま毎日幸せだなって勝手に夢みて生きれたのに。少なくともこんなにはなっていない。』
『...うん。』
『ねぇ…気付いてた?』
私は彩花の顔を見ることが出来ずに、下を向いて聞いた。
『うん。』
言い訳もせずに、応えをはっきり言うところは彩花の良いところだ。
『まじか。ウケるんだけど。(笑)
私すごい痛々しいやつじゃん。(笑)』
もうすぐ底つきそうなウーロンハイを一気に身体に入れる。
『それ笑えないよ。』
『...。』
『むしろ...泣けるよ。』
彩花は私の目をじっと見て言った。
彩花は昔からそういうやつだった。
片耳だけで聴いているようなやつと違って、全身で、瞳の奥の悲しさまで見つけるようなやつだった。
私は、私の代わりにそれを言ってくれた彩花がありがたかった。
でも、やっぱり虚しかった。
『....』
『ハハッ...。それな。』
と言って、私は空いたグラス片手に無理してきっと綺麗に仕上がってない、引きつった、笑顔にもなってない笑顔を作るのだった。
金曜日の世界は、どの曜日にもない煌めきを帯びていて、そこでは何もかもが許されてしまうのではないかというほど無防備で華やかだった。
私はその世界に溶け込めているようで、混ざりきれていない、はぐれものだった。
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