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(どうしよう………)
一瞬、足がすくんだ。
ウサギも危ないし、1年生の身だって──。
とその時、私はウサギ小屋の鍵をまだ閉めていないことをハッと思い出した。
野良犬は、歩みを止めずに突き進んでくる。
響くような喉鳴りが、ここまで聞こえてきた。
(どうしよう……どうしよう……)
焦りを感じた私は、野良犬に悟られないようにそろりそろりと飼育小屋の脇に近づき、ほうきを取りに戻った。──ほうき一つ取るのにこんなに腹筋を使うなんて、思いもしなかった。
“武器”を構えて、小屋の扉の前の方までにじり寄る。
野良犬は、ウサギ小屋をじっと見ながら低く唸っていた。
そして──。
急に飛び出しては、ガシャァンッ!と大きな音をたてて小屋の網に飛びついたのだ。
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