4.生き物の目

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(どうしよう………)  一瞬、足がすくんだ。  ウサギも危ないし、1年生の身だって──。  とその時、私はウサギ小屋の鍵をまだ閉めていないことをハッと思い出した。  野良犬は、歩みを止めずに突き進んでくる。  響くような喉鳴りが、ここまで聞こえてきた。 (どうしよう……どうしよう……)  焦りを感じた私は、野良犬に悟られないようにそろりそろりと飼育小屋の脇に近づき、ほうきを取りに戻った。──ほうき一つ取るのにこんなに腹筋を使うなんて、思いもしなかった。  “武器”を構えて、小屋の扉の前の方までにじり寄る。  野良犬は、ウサギ小屋をじっと見ながら低く唸っていた。  そして──。  急に飛び出しては、ガシャァンッ!と大きな音をたてて小屋の網に飛びついたのだ。
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