第1章☆13日の木曜日

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第1章☆13日の木曜日

次の週の木曜は13日だった。 弟の海斗が 「つまんねーの。13日の金曜だったら良かったのに」 と、カレンダーにあかんべーした。 私は苦笑しつつ、出掛ける用意を手早くした。 「こんな朝早くから学校かい?」 パジャマ姿の父さんが怪訝そうに聞いた。 「骨董市に行くの。欲しいのが待っててくれるかもしれないんだ」 「ふうん。・・・ちょっと待て」 「何?」 「お前に見せたいものがある」 父さんが二階に向かったので、ついて行く。海斗も私の後ろをついてくる。 「これ・・・」 くだんの鏡がクローゼットから出てきた。面食らってる私を見て、父さんは言った。 「先週、出勤途中でどうしても足が吸い寄せられてね」 「・・・いくらだった?」 「三千」 「今日、五百のはずだったのに」 「あちゃー」 父さんが頭を抱え込んでしかめっ面をした。 「こら、ダメじゃない」 私は鏡に向かって言った。 父さんは自分に言われたと思ったみたいで、 「この鏡買ったの、母さんには内緒、な」 と言って、私にくれた。 「いいなー。陽子姉ちゃんばっかり」 「へへん、だ」 私は鏡を大事に持って子供部屋に行った。 夜中。 海斗が合わせ鏡をして遊ぶと言って聞かなかった。 「何にも起こらないよ。早く寝ましょう」     
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