第1章☆13日の木曜日

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私は大あくびした。 母さんの使っていないコンパクトの鏡を持ち出して、海斗は目が冴えている様子だった。 「13日で金曜なのは、ほんの一瞬だけどもうすぐだから」 カチカチカチカチ・・・ 部屋の鳩時計がブウンと音をたてる。ちょっと怖くなった。 鏡と鏡の間に無限の繰り返し世界ができる。 パッポウ、パッポウ、パッポウ、・・・。 鳩が12回時刻を告げると、扉が閉まって、鳩は中に引っ込んだ。 しんとした夜の静寂が訪れる。体の芯まで染み入るようだ。 「ほら、もう寝よう、海斗」 「ん・・・」 二人が二段ベッドの方に向かおうとする。 その時。 「呼び出しておいて、それはないだろう」 と男の声がした。 振り向くと、白と黒。二人の対照的な男が立っていた。 外国人かな?彫りの深い顔立ち。でも日本語でしゃべってる。 白いシルクハットと白い燕尾服の男がデルムント。 黒いシルクハットと黒い燕尾服の男がノメド。 「鏡の中に遊びにおいで」 「行く行く!」 「海斗!」 「陽子姉ちゃん嫌なら残れば?」 「でも・・・」 「この鏡の持ち主は陽子だ」 ノメドが言った。 「陽子の意思に我々は従う」 デルムントが言った。 「明日も学校が・・・」 「時間は止まっているよ。今なら自由になんだってできる」     
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