白紙

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白紙

 ふと、美術室のドアがノックされた。普段はあまりないことだから、私はいくらかオーバーに反応してしまった。顧問かと思ったが、彼女はそんなタイプではない。  夏季休業の方が近くなっている今では新入部員でもないだろう。ましてや美術部だ。部員として本当に活動しているのは私くらいで、他に名を連ねる部員はただ一先ず文武両道を達成したいだけだ。  対応に困っていると、急かすように再びドアがノックされた。 「ど、どうぞ……」  怖ず怖ずと入室を許可した。入ってきたのは生徒で、リボンの色から同学年だと分かった。そして私もおぼろげに知っているクラスメイトだった。名前は確か永武完奈といったはずだ。  私の身長は多分、平均くらいだ。しかし彼女は私よりずいぶん背が低い。それに童顔が相まって中学生くらい、制服がなければ小学生とすら思われかねないだろう。実際には高校生だが。  とはいえ幼げな容姿に似合わず彼女はとにかく学業優秀だ。部活には入っていなくて体育の一切には参加しないが、それを補って有り余るくらいに頭がいい。なんたって学年トップだ。     
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