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黒と白
しほちゃんは、お昼ごはんのあと、画用紙にクレヨンで、絵をかいていました。
ぽかぽかあたたかい日でおなかはくちくて。
しほちゃんはうつらうつらすると、ことん、と寝てしまいました。
しほちゃんが、すーすー寝息を立てているのを確認して、クレヨンたちがニョキニョキっと立ち上がりました。
「あ~あ。らんぼうに握るから、体が半分で折れちゃったよ」
「私なんかあちこち塗られるから、もうすぐ無くなっちゃうんじゃないかって心配だわ」
クレヨンたちは口々に好きなことを言い合いました。
いかにも困っているふうに言っていますが、クレヨンたちは、みんな、しほちゃんが自分を使ってくれることを、嬉しく思っていました。
どんどん使われて背が小さくなることが、クレヨンたちの誇りでした。
「みなさん、聞いてください!」
とつぜん、クレヨンの箱の中で立ち上がった黒クレヨンが叫びました。
「ぼく、黒クレヨンと白クレヨンは、今日、結婚します」
黒クレヨンとピッタリくっついて立つ白クレヨンを見て、クレヨンたちはひそひそと言います。
「おい、のっぽたちが何か言ってるぜ」
「毎日ヒマすぎて、頭がヘンになったんじゃない?」
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