グスクの海ーAfter story

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ドラマストーリー2  金丸登場 護佐丸の廻国の目的は琉球王府のために役立つ人物を発掘することであった。 その護佐丸は、ある日、ある男に出会った。 金丸という男であり、既に37歳になるが、これまで何をやっても、うまくいかず、出身地のいぜな伊是名島をはじめとして、あちこち転々としていたが芽が出ずに、本島へ来れば仕事の口もあるかと思い渡ってきたが雇ってくれるところもなく、ついに食い詰めて、野辺に倒れたという。 弱って餓死寸前の金丸を拾った護佐丸は、この男を読谷グスクに連れて自分の家来にしようとするが、その前に、ひとり見たい者がいるという。 聞くと、ある井戸で美しい少女が水浴びをしており、それに一目惚れしたという。 その少女を、もう一度、よみたん読谷グスクへ去る前に見たいという。 その心にほだされて護佐丸は、その井戸へつきあった。 少女は再び現れ、井戸で水を飲んだ。 それを見ていた金丸は泣き、もう二度と見ることはないだろうといった。 護佐丸が、その少女の素性を調べると按司ほどではないが、地元の有力者の娘であるという。 「わしの許で働いて甲斐性をつけろ。そうすれば思いが叶うこともある」 そういって、この食い詰め中年を励ますのだった。 読谷グスクへ戻ると王府より中グスク築城の命が下っていた。 最近、王府で発言力を持つ金福の弟布里の陰謀であり、護佐丸の財力を削ぐのが狙いだった。 それを知っていた護佐丸だったが、土木工事によって職の無い人間を雇用することができると考え、これを受けた。 この工事に、金丸と盛親を連れて行くことにしたが、盛親は嫌がった。 それを殴りつけて、 「流鏑馬も袈裟懸けもできない男が何をいう」 せめて城造りくらい手伝え、と半ば強引に連れていくのだった。 中グスク工事の現場で、金丸は意外な才能を発揮した。 彼は一作業員としては有能で、またたくまにひとつの組をまかされるまでになった。 組をまかせられると、今度は受け持ち現場を、あっというまに普請してしまう。 聞けば数字に強い。 他の学問はダメだが、なぜか数字だけは得意である。 (これは珍しい才能だ) と思い、 「金丸。ここで成功すれば、おまえを王府の御物グスクの役人に推薦する。そうすれば、あの娘を迎えにいけるぞ」 と鼓舞すると、金丸はますます奮起して中グスクの工事をまたたくまに完成させるのであった。 護佐丸の推薦により御物グスクの役人となった金丸は、懐機の面接を受け、その才能を見抜かれ、この時期進行中だった長虹堤の工事をまかされる。 破格の出世に、金丸は、あの美少女ーカニメガを迎えに行くが、彼女は既に人妻だった。 地元の祭りで、それを知らされた金丸は用意した土産の「ちんすこう」を、カニメガの幼い娘に手渡し黙って去るのだった。 幼い娘ーオギヤカの瞳が輝いているのも知らず・・・・・。
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