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「私だってもういい歳で、今までずっと家族と暮らしてきたんだから、そんなこと気にしたこともないわよ」
と一蹴され、自分の愚かな発言に逆に恥かしさがこみ上げ、無言で家に帰っていくラドリッド。
窓越しにその背を見送りながら、
「真面目というか…、もはやただのお子様ね…。本当に精鋭の騎士なのかしら」
と、アリシアは苦笑いする。
街で話している中で、自分がディーゴのところに住んでいるというと、かなりの割合でラドリッドの話が出た。
そして必ず、アリシアを見ては、なるほどねぇ、などと何かを勝手に納得された。
やっぱりみんなしてラドリッドに私をくっつけようとする気配を感じるわ、などと思いながらも、しかしそれと同じぐらいの確率で、老若男女問わず、ラドリッドについての賞賛や羨望の声も耳にする。
若き精鋭騎士団、中でも特に一○一騎士団員は、街では英雄のような扱いになっているようだった。
ラドリッドが騎士訓練兵団に入団したのは、十六の時だった。竜翼の孫と前評判も高かった彼は、その一年後、訓練兵団を主席で卒業し、まずは当時の騎士団の最下級であった第二十一騎士団に配属される。
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