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黒い町、白い息
彼の吐く白い息だけが、やけにはっきりと見えた。
近くに街灯はなく、人の気配もない。ただ、彼の目は私を見て、わたしの目は彼を見ていると、はっきりとわかった。彼の目線と私の魔戦が、バッチリとあっているという確信が、奇妙だが、そこにあった。
「よぉ、もう終わりにしようぜ」
「そうだな、それがいい」
少しだけ目線を下げると見える、鉄の筒。いや、それよりも先の、銀に光る弾頭。これで撃ちやすくなっただろう。「よく狙え、お前は一人の男を殺すんだ」。
最期の光景は、無表情の男の顔だった。
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