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言葉を紡ぐ2人をサングラス越しに見ている。どうやら犯人は、はきはきと答える翔の様だ。
挙動不審な要は翔と一緒に行動するだけの存在で、今回もたまたま付き合わされてここに来たらように見える。
カメラを見つめ、指で指示を出してRookに気づかせる。BluetoothからRookの声がした。
あたしは小声で返事をする。
「紫苑、どうしたの?急に…」
『「鼠」の正体が分かった。奥の席の奴を拡大解析して照会してくれ。
多分だけど『Aqua Virgo』が絡んでる可能性があるよ』
「何で奴等が…」
『「銀の魚」が解体されて『女王蜂』が殺された今、次にMasterに刃を向けるのは誰?』
「すぐに確認する。そっちはそのまま続けるつもり?」
『勿論。ある程度したらあたしが動く。それでいいでしょ?Master…』
あたしとRookの会話を聞いていたKingは、瞬きを2回する。それは「Yes」の合図だった。
その間にも翔と要の話は続いていた。あたしはKingの隣に座ると、揺さぶりをかける質問をした。
『翔って言ったっけ?前はどこのお店にいたの?』
「はい。前は歌舞伎町の「Noir」と言う店にいました。しかしNo.1とNO.2の派閥で客の取り合いがあったり、そこからお互いの派閥に対しての嫌がらせが増えまして…
弟分でもある要をお店に誘って一緒に仕事をする予定でしたが、あの闘争の中に要を巻き込む訳にはいかないと…
それで、こちらのお店でホストを募集していると聞いて、要と一緒に面談を受けさせて頂きました」
「そんなに派閥争いが酷いのか?蒼焔、情報はあるか?」
『「Noir」に関してはホストクラブとしては上位の店ですね。No.1は「飛鳥」でNo.2が「レイト」だったかと思います。確かにこの2人の対立は1年半ほど前から始まっていますね…原因は飛鳥が休みの日にレイトが飛鳥の客を奪ったという話ですが、あくまでも噂の話です』
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