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目が虚ろになっている翔は、あたしの言葉に頷く。
あたしはVIPルームの鍵を開けると、Kingの隣に座り手を叩く。翔は2回程瞬きをすると、あたしとKingを見る。
『さて、私達の面談はこれで終了だ。今日は帰っていいよ。Master、何かありますか?』
「特にはないな。まあ、無理をしないように頑張れよ」
「はい、ありがとうございました。では失礼します」
そう言って翔はVIPルームを後にした。要は残ったままだ。あたしは眠っている要の傍に行き、睡眠薬の中和剤を打ってから耳元で囁く。
『お前は何も覚えていない。翔の事も知らない。手を叩いたら目が覚める。お前は残念だが、ホストにはなれない…
Masterとの話が終わったら、この店から去るんだ。それから皇にここに来る様に伝えて欲しい。いいね?』
そう言ってKingの隣に座り、手を叩く。ゆっくりと目を覚ました要を見てKingが声をかける。
「面談は終わりだ。何か聞きたい事はあるか?」
「いえ、特にはありません」
『今日は色々とありがとう。話が聞けた良かった。もういいよ。あ、この部屋を出たらオーナーを呼んでくれないかな?』
「はい分かりました。ありがとうございました」
要もそう言ってVIPルームを後にした。あたしはその間にサングラスを掛ける。
しばらくしてか青ざめた顔をした皇が入ってきた。
Knightも到着したらしい。VIPルームに入ってくるとあたしは鍵をかけた。
「King様、Bishop様、あの2人は一体…」
「King様、行方不明だったPawnは回収してMaria様の病院へ搬送しています。大腿を刺されているようですね…」
「皇、お前とQueenには「採用者の身辺調査をきちんとしろ」って言っただろう…まさか『Aqua Virgo』の「鼠」が紛れ込んでるとは思わなかったぞ」
「大変申し訳ありません。まさかその様な者がいるとは思わなくて…」
『見苦しいよ。Queenと一緒に面談した結果がこれ?Master、本当にこれで大丈夫なの?』
「あ、あの…King様、こちらの方は?蒼焔様ですよね?」
「ああ、そうだ。もしかして人が変わったでも言うなら、それはお前の気のせいだよ…」
Knightはそれが嘘だと言う事を分かっていた。
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