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「水蓮様、翔です。ちょっと厄介な事になりまして…『Black Gemini』が本格的に動いています。どうやら女王蜂も葬られた様子でして、水蓮様の動きを把握しているようです。
先日から潜り込んだ「Kraken」にもすでに奴等の手が入っています。私は一度そちらに戻ります。ええ、大丈夫です。私と『Aqua Virgo』の繋がりまでは分からないかと…」
『こっちの思惑通りに話をしているね…うまくいってる証拠だったりして』
「蒼焔様、翔に一体、何をしたのですか?」
「よく言えば「催眠術」、悪く言えば「洗脳」だ…それにしても蒼焔、本当にお前の言った通りに話をしているな。あの「鼠」は…」
『移動に車を使ってる?妙にノイズが多い…あいつBluetooth使ってるのかな?それとも盗聴器の位置が悪かった?』
「まあ、全く聞こえないわけじゃないから大丈夫よ。紫苑…いえ、蒼焔は慣れていないんだから」
Rookの言葉に一瞬Kingが怪訝な顔をしてカメラを見つめる。何かを窘めているような視線だ。
Knightもその異変には気が付いたが、あえて聞かなかったことにしている。皇は気が付いていないようだ。
『そろそろ「着いた」みたいね…』
「蒼焔様、その言葉は!」
「ちょっと、何やってるのよ!蒼焔…」
あたしは自分の話した言葉で人格交代を引き起こしてしまったらしい。頭を押さえながら下を向くとそのまま動けなくなってしまった。
Kingはそんな事を気にすることなくタブレットの会話に集中している。
「蒼焔様、大丈夫ですか?」
『ああ…悪い。Knight、頭痛薬をくれないか?』
「こちらをどうぞ」
Knightから薬を水を受け取ると、あたしはそれを飲む。Kingはそんなあたしを見て頭を抱えていた。
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