Prologue:「紫苑」の心理テスト

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そう言われて画用紙を渡されたあたしは、徐にMA-1を脱いで黒いワイシャツの左腕を捲ると、自分のダガーを使って腕に傷を付ける。 それを見たMariaがあたしを見て呆れる。 「紫苑!画材は何を使っても良いって言ったけど、何で自分の腕を傷つけるのよ…」 『だって、これ()で絵を描きたいんだもん』 紅い血が流れるのを見て答えると、ダガーの先で器用に画用紙を彩り始めた。 20分後、画用紙に現れたのは枯れた深紅の薔薇と血で染められた白い薔薇だった。茎や葉の部分は緑の色鉛筆を使ってリアルに描き上げていく。 薔薇は花の根元から折れ、地面に落ちて枯れている。何枚か花弁も散っていた。 その薔薇の濃淡も血で描きあげたのだ。 『Maria、出来た。こっちの処置してくれる?』 「出来たのね…って紫苑、どうしてこの絵を描いたの?」 『綺麗に咲いてる華には興味ないし、興味があるとしたら真っ白な薔薇を血で染めたいんだよね…』 あたしの言葉をカルテに書き込むと、すぐに腕の傷を見る。消毒をしてガーゼを貼れば問題はなさそうだ。処置が終わるとMariaは10枚のカードを持ってきた。 「次は「ロールシャッハ」ね。この絵の中に見えたものを答えてくれる?後で理由も聞くわ」
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