プロローグ

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バスルームを出た私は、冷蔵庫から缶ビールを取り出して、その場でごくごくと飲んだ。 熱いシャワーで少し逆上せ気味になった身体に、キンキンに冷えたビールが痛いくらいに染みていく。 風呂上がりのビールだなんて、いつの間にこんなことが日課になってしまったのだろう。 缶ビールを片手に部屋に戻る。 八畳の部屋のど真ん中に置かれたローテーブルの前、白いラグの上にどっかりと腰を下ろした。 体がまだ火照っているから、長いラグの毛が少し鬱陶しい。 ビールをひと口飲んで、電源が入りっぱなしのノートパソコンを開いた。 私はネット小説を書いていて、寝る前のこの時間は大抵クリエイターの活動で費やすのだ。 ロック解除のパスワードを打ち込む。 『taiga0723』 パソコンだけじゃない、私のネット上のあらゆるパスワードは、大雅に再会する前からずっとコレ。 銀行やらスマホのロックやらの暗証番号は『0723』だ。 パスワードが初恋の人の名前や誕生日だなんて、いい年こいてバカみたい。 再会してからは尚更思う。 本当にバカみたい。
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