Chapter1

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***** 夜7時半、指定された通り職場近くの駅前で待っていると、5分ほどして大雅が現れた。 「お待たせ。行こっか」 「ねえ、今からどこ行くの?」 「ひみつ~」 大雅は悪戯っ子みたいに笑った。 夜の街を、2人で並んで歩く。 3連休の初日、しかもクリスマスイブ前夜の街は、多くの人でごった返していた。 街路樹やビルを彩る、たくさんの美しいイルミネーション。 あちらこちらから流れてくるクリスマスソング。 すれ違う人々はみな楽しそうな笑顔。 私は単純だ。 つい昨日まで鬱陶しかったはずのクリスマス一色の景色は、今はなんだか夢心地。 「やっぱどこも混んでんね。予約しといて正解」 「ごはん、予約してくれたんだ?」 「うん。だって、こんな日に食事難民になりたくないじゃん?」 食事ができる店を何件も通過したが、どこも人で溢れているようだった。 世間はクリスマスを満喫するものなのだと、改めて認識する。 ここ数年の私のイブは、いつも通り小説を書いて過ごすだけのものだったのだ。 今年もぼっちになって、荒んだ心でクリスマス短編でも書くところだった、危ない。
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