Chapter1

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食事を終えると、私達はまた下に降りて、正面玄関前のクリスマスツリーを見に行った。 ツリーの周りは、沢山の見物客で賑わっていた。 「うわー、カップルだらけ!」 手を繋いでいたり寄り添っていたり、仲睦まじいカップルだらけの様子を見て、私は声を上げた。 「俺らだってカップルじゃん」 「まあね、ゴッコだけど」 ツリーが放つ、薄紫色の眩い光に目を細めながら私が言えば、 「ふっ、その話覚えてねーくせに」 大雅はそう笑って、私の手をそっと握った。 少し驚いて顔を見上げると、 「いや、カップルらしくしようかなと」 そんなことを真面目な顔をして言う。 「そういえば大雅、恋人ゴッコなのに、私と手繋ごうとしなかったよね。なんで?」 「……だってそんなん、ちょー照れるじゃん」 「何言ってんの、バカなの?」 キスやセックスは平気でするくせに。 コイツの頭は、きっとどうかしているのだ。 まあ、そんなコイツの手を離せない私も、相当頭がおかしい。 ツリーから放たれる、薄紫の光の洪水。 偽物の恋人と見るその光景は、泣きたくなるくらいキラキラと美しくて、確かに目の前にあるのに、やっぱり儚い夢みたいだった。
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