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他人の命を奪う行為が許容されてはいけない、と、そう思うことは正しい考えであるはずなのですが、そうでなければならないのが世の中の常識だと思うのですけれど、そういった思想は間違っていると私は突き付けられている状態でして、つまり、つまるところ、結果、結局、最終的に、私は死ぬのかもしれません。この、四流作家・イエハナンによって。
私は未完の名作「自愛の果てに」でヒロインとして生み出されました。名前はルミ・エバンズ、イギリス人で、登場から死んでいます。
金色に輝く長髪で、夏の雲のような白い肌の持ち主で、恋人に殺されていて。
女性の象徴である部位は、そう、あなたが今想像した部分ね。そこはもう、豊かに、それでいて芸術性を持ちつつ、なのにも関わらずボディラインは男性の理想そのもの。
まぁ、回想にしか描かれていませんけれどね。だって死んでんだもん。
とにかく私、ルミ・エバンズは完璧な美貌を持つ英国の華なのです。いや、天使と言っても過言ではないわ、二つの意味でね。
そんな私を登場から死体役で登場させているこの四流作家をどう思います。おかしいでしょ。しかも最初から。最初からよ、最初から。
んと、えっと、英国の「華」と「最初」を掛けたんだけど。あ、「さいしょ」って読んだの、違う違う、「はな」ね。ああ、まぁいいや。
こんなにも日本語を習得した、粋なイギリス人を生かしておかないとか。あ、「粋」って「活かしてる」という意味でもあるから、「活かす」と「生かす」が、こう・・・・私天才なのかしら・・・・ごめんなさい、なんでもないです。
だからね、昨今では日本語ペラペラなイギリス人なんて目立たないかもしれない。というか日本人が生み出してるから、どちらかと言えばイギリスの知識の方が疎いけれども。
でも、命を奪っていい理由にはならないでしょ。そうでしょ。まぁ情報集合体だから死んでいることさえも認識されたら「生きている」ことになるのかもしれないけど。
まさか、あなた情報集合体がどんなものか分からないとか言い出さないわよね。んー。一応、認識の共有は大事かもしれないわね。じゃあ、そこから始めましょうか。
ルミ・エバンズがどんな存在なのか。
あなたが今認識している私の姿ってどんなのかしら。
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