22人が本棚に入れています
本棚に追加
まだまだ気温が高い真昼間。
ついさっきまで熱を帯びていたはずの体が、急激に冷やされたように寒くなって、背中に冷たい汗が流れました。
(やってしまった・・・・)
河内さんは頭の中が真っ白になりました。
(ヴェアがいない・・・)
そして、公園を見渡します。
(どこだ!?)
リクガメは、絶対に自分から帰って来る生き物ではありません。ましてや、呼んだら走って戻ってくるような生き物でもありません。
草は食べ終わっているはず。・・・あとは、違う場所でくつろいでいるか。
・・もしくは、持ち去られた・・?
(いや、それはない!)
すぐに、否定の言葉が頭をよぎります。
今日公園に来た人は、1人もいなかった。仮にいたとしても、9キロもあるリクガメを衝動で持ち去るのは、なかなかできることではない。
(とにかく、ヴェアが入りそうな植え込みの下を探そう!)
河内さんは公園中の植え込みを覗いて回りました。
最初のコメントを投稿しよう!