ヴェアを待つ。

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翌日。 河内さんは、早朝から公園へと赴きました。 すると公園にはすでに管理人さんがいて、朝のゴミ拾いを始めています。 「おはようございます。今日は随分と早いですね」 河内さんが声をかけると「いやぁ、カメのことが気になっちゃって」そう言って笑い、 「植木の中も見たけど、やっぱりいないなぁ」と教えてくれます。 管理人さんにお礼を言って、河内さんももう一度公園内をくまなく探しました。 その間、頭の中ではあらゆる可能性がグルグルと回っていました。 「公園から道路に出て、車にひかれたのではないか」 「公園から遠く離れたどこかを歩いているのかもしれない」 「見落とした植え込みの中から、出られなくなっているのかも」 「誰かに持ち去られた」 などなど・・・、考えたらキリがありません。 それを一つ一つ潰していきました。 「いや、道路に出たのなら、昨日の時点で見つけられたはず」 「夕方から寝ているはずだから、この場所から離れていない」 「植え込みは全てチェックした」 「いやいや、持って帰るには重すぎる! 無理無理!」 この時ほど、ヴェアが大型のリクガメで良かったと、思う瞬間はなかった河内さんです。 (ヴェア!どんなに大きくなっても、もう文句言わないから、無事に出てきて!!) ヴェアは出てくる。信じて待とう。 公園とお寺とを隔たるフェンスの前で河内さんは、祈る気持ちでじっと待ちました。
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